鳴《な》つて、其《そ》の藁屋《わらや》の廂《ひさし》から、畷《なはて》へばさりと落《お》ちたものがある、続《つゞ》いて又《また》一《ひと》つばさりとお出《で》やる。
鳥《とり》か獣《けもの》か、こゝにバサリと名《な》づくるものが住《す》んで、案山子《かゝし》に呼出《よびだ》されたのであらう、と思《おも》つたが、やがて其《それ》が二《ふた》つが並《なら》んで、真直《まつすぐ》にひよいと立《た》つ、と左右《さいう》へ倒《たふ》れざまに、又《また》ばさりと言つた。が、名《な》ではない。ばさりと称《とな》へたは其《そ》の音《おと》で、正体《しやうたい》は二本《にほん》の番傘《ばんがさ》、ト蛇《じや》の目《め》に開《ひら》いたは可《いゝ》が、古御所《ふるごしよ》の簾《すだれ》めいて、ばら/\に裂《さ》けて居《ゐ》る。
三十四
唯《と》見《み》ると、両方《りやうはう》から柄《え》を合《あ》はせて、しつくり組《く》むだ。其《そ》の破《やぶ》れ傘《がさ》が輪《わ》に成《な》つて、畷《なはて》をぐる/\と廻《まは》つて丁《ちやう》と留《と》まる。
案山子《かゝし》が三《み》ツ
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