ゝし》の脚《あし》もとを四《よ》ツ五《いつ》ツむら/\と纒《まと》ふて進《すゝ》む。
「それは狐《きつね》か犬《いぬ》らしい、其《それ》とも何《なに》か鳥《とり》が居《ゐ》て、上《うへ》をふわ/\と飛《と》んだのかも分《わか》りません。」
と雪枝《ゆきえ》は老爺《ぢゞい》に言《い》ふのであつた……

         三十二

「忘《わす》れもしない、温泉《をんせん》へ行《ゆ》きがけには、夫婦《ふうふ》が腕車《くるま》で通《とほ》つた並木《なみき》を、魔物《まもの》が何《ど》うです、……勝手次第《かつてしだい》な其《そ》の躰《てい》でせう。」
 来《く》る時《とき》は気《き》がつかなかつたが、時《とき》に帰《かへり》がけに案山子《かゝし》の歩行《ある》く後《うしろ》から見《み》ると、途中《とちゆう》に一里塚《いちりづか》のやうな小蔭《こかげ》があつて、松《まつ》は其処《そこ》に、梢《こずえ》が低《ひく》く枝《えだ》が垂《た》れた。塚《つか》の上《うへ》に趺坐《ふざ》して打傾《うちかたむ》いて頬杖《ほゝづゑ》をした、如意輪《によいりん》の石像《せきざう》があつた。と彼《あ》のたよりのない
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