土器色《かはらけいろ》の月《つき》は、ぶらりと下《さが》つて、仏《ほとけ》の頬《ほゝ》を片々《かた/\》照《て》らして、木蓮《もくれん》の花《はな》を手向《たむ》けたやうな影《かげ》が射《さ》した。
其《そ》の前《まへ》を、一列《ひとなら》びに、ふら/\と通懸《とほりかゝ》つて、
『御許《ごゆる》され』と案山子《かゝし》の一《ひと》つが言へば、
『御許《ごゆる》され。』
と又《また》一《ひと》つが同《おな》じ言《こと》を繰返《くりかへ》す。
『御許《ごゆる》され、御許《ごゆる》され。』と声《こゑ》が交《まじ》つて、喧々《がや/\》と※[#「口+堯」、148−6]舌《しやべ》つた、と思《おも》はれよ。
『大儀《たいぎ》ぢや』
と正《まさ》しく如意輪《によいりん》が仰《あふ》せあつた……
『はツ、』と云《い》ふと一個《ひとつ》、丁《ちやう》ど石高道《いしだかみち》の石※[#「石+鬼」、第4水準2−82−48]《いしころ》へ其《そ》の一本竹《いつぽんだけ》を踏掛《ふみか》けた真中《まんなか》のが、カタリと脚《あし》に音《おと》を立《た》てると、乗上《のりあが》つたやうに、ひよい、と背《せ》
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