ざう》を刻《きざ》みはじめた。が、又《また》此《こ》の作《さく》に対《たい》する迫害《はくがい》は一通《ひととほ》りではないのであつた。猫《ねこ》が来《き》て踏《ふ》んで行抜《ゆきぬ》ける、鼠《ねずみ》が噛《かじ》る。とろ/\と睡《ねむ》つて覚《さ》めれば、犬《いぬ》が来《き》てぺろ/\と嘗《な》めて居《ゐ》る……胴中《どうなか》を蛇《へび》が巻《ま》く、今《いま》穴《あな》を出《で》たらしい家守《やもり》が来《き》て鼻《はな》の上《うへ》を縦《たて》にのたくる……やがては作者《さくしや》の身躰《からだ》を襲《おそ》ふて、手《て》をゆすぶる、襟頸《ゑりくび》を取《と》つて引倒《ひきたふ》す、何者《なにもの》か知《し》れずキチ/\と啼《な》いて脇《わき》の下《した》をこそぐり掛《か》ける。
 無残《むざん》や、其《そ》の中《なか》にも命《いのち》を懸《か》けて、漸《やつ》と五躰《ごたい》を調《とゝの》へたのが、指《ゆび》が折《を》れる、乳首《ちくび》が欠《か》ける、耳《みゝ》が※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《も》げる、――これは我《わ》が手《て》に打砕《うちくだ》いた、其
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