まれた、フトした時《とき》……
『どうだ、大分《だいぶ》ものに成《な》つたらう、』と聊《いさゝ》か得意《とくい》で。丁《ちやう》ど居合《ゐあ》はせた権七《ごんしち》の顔《かほ》を目《め》を挙《あ》げて恁《か》う見《み》ると……日《ひ》に焼《や》けた色《いろ》の黒《くろ》いのが又《また》恐《おそ》ろしく真黒《まつくろ》で、額《ひたひ》が出《で》て、唇《くちびる》が長《なが》く反《そ》つて、目《め》ががつくりと窪《くぼ》んだ、其《そ》の目《め》がピカ/\と光《ひか》つて、ふツふツ、はツはツ、と喘《あへ》ぐやうな息《いき》をする。……


       供揃《ともぞろ》へ


         三十

 いや、其《そ》の息《いき》の臭《くさ》い事《こと》……剰《あまつさ》へ、立《た》つでもなく坐《すは》るでもなく、中腰《ちゆうごし》に蹲《しやが》んだ山男《やまをとこ》の膝《ひざ》が折《を》れかゝつた朽木《くちぎ》同然《どうぜん》、節《ふし》くれ立《だ》つてギクリと曲《まが》り、腕組《うでぐみ》をした肱《ひぢ》ばかりが胸《むね》に附着《くつつ》き、布子《ぬのこ》の袖《そで》の元《もと》へ窄《せ
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