ほこら》の前《まへ》に、森《もり》の出口《でぐち》から、田甫《たんぼ》、畷《なはて》、山《やま》を覗《のぞ》いて立《た》つであらう。
 と凝《じつ》と視《なが》める、と最《も》う其《そ》の鳥居《とりゐ》の柱《はしら》の中《なか》へ、婦《をんな》の姿《すがた》が透《す》いて映《うつ》る……木目《もくめ》が水《みづ》のやうに膚《はだ》に絡《まと》ふて。
『旦那様《だんなさま》、お荷物《にもつ》な持《も》つて参《めえ》りやした、まあ、暗《くれ》え処《とこ》に何《なに》を為《し》てござらつしやる。』
 成程《なるほど》、狐格子《きつねがうし》に釣《つ》つて置《お》いた提灯《ちやうちん》は何時《いつ》までも蝋燭《らふさく》が消《た》たずには居《を》らぬ。……気《き》が着《つ》くと板椽《いたえん》に腰《こし》を落《おと》し、段《だん》に脚《あし》を投《な》げてぐつたりして居《ゐ》た。
 鞄《かばん》を脊負《しよ》つて来《き》たのは木樵《きこり》の権七《ごんしち》で、此《こ》の男《をとこ》は、お浦《うら》を見失《みうしな》つた当時《たうじ》、うか/\城趾《しろあと》へ※[#「彳+羊」、第3水準1−8
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