かげ》は出家《しゆつけ》の口《くち》より伝《つた》へられたやうな、倒《さかさま》に梁《うつばり》に釣《つる》される、繊弱《かよは》い可哀《あはれ》なものでは無《な》い。真直《まつすぐ》に、正《たゞ》しく、美《うるは》しく立《た》つ。あゝ、玉《たま》の如《ごと》き肩《かた》に、柳《やなぎ》の如《ごと》き黒髪《くろかみ》よ、白百合《しろゆり》の如《ごと》き胸《むね》よ、と恍惚《くわうこつ》と我《われ》を忘《わす》れて、偉大《ゐだい》なる力《ちから》は、我《わ》が手《て》に作《つく》らるべき此《こ》の佳作《かさく》を得《え》むが為《た》め、良匠《りようしやう》の精力《せいりよく》をして短《みじか》き時間《じかん》に尽《つく》さしむべく、然《しか》も其《そ》の労力《らうりよく》に仕払《しはら》ふべき、報酬《はうしう》の量《りやう》の莫大《ばくだい》なるに苦《くるし》んで、生命《いのち》にも代《か》へて最惜《いとをし》む恋人《こひびと》を仮《かり》に奪《うば》ふて、交換《かうくわん》すべき条件《でうけん》に充《あ》つる人質《ひとじち》と為《し》たに相違《さうゐ》ない。
卑怯《ひけう》なる哉《か
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