《ゐ》た。が、同《おな》じ舌《した》の尖《さき》に触《ふ》れた、と思《おも》ふと血《ち》を絞《しぼ》つて湧《わ》き出《い》づる火《ひ》のやうな涙《なみだ》とゝもに、ほろり、と采《さい》が手《て》に落《お》ちた。其《そ》の掌《たなごゝろ》を忘《わす》るゝばかり心《こゝろ》を詰《つ》めて握占《にぎりし》めた時《とき》、花《はな》の輪《わ》が渦《うづま》くやうに製作《せいさく》の興《きよう》が湧《わ》いた。――閉《と》づる、又《また》開《ひら》く、扇《あふぎ》の要《かなめ》を思着《おもひつ》いた、骨《ほね》あれば筋《すぢ》あれば、手《て》も動《うご》かう、足《あし》も伸《の》びやう……風《かぜ》ある如《ごと》く言《ものい》はう…と早《は》や我《わ》が作《つく》る木彫《きぼり》の像《ざう》は、活《い》きて動《うご》いて、我《わ》が身《み》ながらも頼母《たのも》しい。さて其《そ》の要《かなめ》は、……手《て》に握《にぎ》つた采《さい》であつた。
 天《てん》が命《めい》じて、我《われ》をして為《な》さしむる、我《わ》が作《な》す美女《たをやめ》の立像《りつざう》は、其《そ》の掌《てのひら》に采《
前へ 次へ
全284ページ中147ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング