うで、やっぱり情人の一人なんです。
(推参。)
 か何かの片手なぐりが、見事に首をころりと落す。拳《こぶし》の冴《さえ》に、白刃《しらは》の尖《さき》が姉の腕を掠《かす》って、カチリと鳴った。
 あっと云うと、二人とも目を覚した。
 お綾の手に、抜いた刀はなかったが、貴婦人は二の腕にはめた守護袋《まもりぶくろ》の黄色《きん》の金具を圧《おさ》えていたっていう事です。
 実は、同じ夢を見たんだそうで、もっとも二階から顔を出したのも、窓から覗《のぞ》いたのも、樹上りをしたのも、皆《みんな》同時に貴婦人は知っていた。
 自分の情人を、一人々々妹が斬殺すんで、はらはらするが、手足は動かず、声も出せない。その疲れた身体《からだ》で、最後に八百屋の若いものに悩まされた処――片腕一所に斬られた、と思ったが、守護袋で留まったと言う。
 貴婦人の病気は、それで、快癒《かいゆ》。
 が、入交《いれかわ》って、お綾は今の身になった。
 と言うのは、夢中ながら、男を斬った心持が、骨髄《こつずい》に徹して忘れられん。……思い出すと、何とも言えず、肉が動く、血汐《ちしお》が湧《わ》く、筋が離れる。
 他《ほか》の
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