かぬまでも三人四人で圧《おさ》え切れぬのが、静《しずか》に納まって、夢中でただ譫事《うわごと》を云うくらいに過ぎぬ。
 で、母親が、親にも頼んで、夜も詰め切ってもらったそうで。肥満女《ふとっちょ》の女中などは、失礼|無躾《ぶしつけ》構っちゃいられん。膚脱《はだぬぎ》の大汗を掻いて冬瓜《とうがん》の膝で乗上っても、その胸の悪玉に突離《つッぱな》されて、素転《すてん》ころりと倒れる。
(お綾様。お綾様。)
 と夜が夜中《よなか》、看病疲れにすやすやと寝ているのを起すと、訳はない、ちょいと手を載せて、
(おや、また来ているよ。……)
 誰某《たれそれ》だね……という工合《ぐあい》で、その時々の男の名を覚えて、串戯《じょうだん》のように言うと、病人が
(ああ、)
 と言って、胸の落着く処を、
(煩《うるさ》い人だよ。お帰り。)
 で、すっと撫で下ろす。」――

       三十四

「すると、取憑《とッつ》いた男どもが、眉間尺《みけんじゃく》のように噛合《かみあ》ったまま、出まいとして、乳《ち》の下を潜《くぐ》って転げる、其奴《そいつ》を追っ懸け追っ懸け、お綾が擦《さす》ると、腕へ辷《すべ》
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