の破目が大層で、此方《てまえ》へ閉ってます引手の処なんざ、桟がぶら下《さが》って行抜けの風穴《かざあな》で。二小間《ふたこま》青蒼《まっさお》に蚊帳が漏れて、裾《すそ》の紅麻《こうあさ》まで下へ透いてて、立つと胸まで出そうだから、覗《のぞ》くどころじゃありません。
 屈《かが》んで通抜けました。そこを除《よ》けて、わざわざ廻って、逆に小さな破《やぶれ》から透かして見ると……
 蚊帳|越《ごし》ですが、向うの壁に附着《くッつ》けた燈《あかり》と、対向《さしむか》いでよく分る。
 その灯《ひ》を背にして、こちら向きに起返っていたのは、年上の貴婦人で。蚊帳の萌黄《もえぎ》に色が淡く、有るか無いか分らぬ、長襦袢《ながじゅばん》の寝衣《ねまき》で居た。枕は袖の下に一個《ひとつ》見えたが、絹の四布蒲団《よのぶとん》を真中《まんなか》へ敷いた上に、掛けるものの用意はなく、また寝るつもりもなかったらしい――貴婦人の膝に突伏《つっぷ》して、こうぐっと腕《かいな》を掴《つか》まって、しがみついたという体《てい》で、それで※[#「女+(「島」の「山」に代えて「衣」)」、442−7]々《なよなよ》と力なさそう
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