に背筋を曲《くね》って、独鈷入《とっこいり》の博多《はかた》の扱帯《しごき》が、一ツ絡《まつわ》って、ずるりと腰を辷《すべ》った、少《わか》い女は、帯だけ取ったが、明石《あかし》の縞《しま》を着たままなんです。
 泣いているのはそれですね。前刻《さっき》から多時《しばらく》そうやっていたと見えて、ただしくしく泣く。後《おく》れ毛が揺れるばかり。慰めていそうな貴婦人も、差俯向《さしうつむ》いて、無言の処で、仔細《しさい》は知れず……花室《はなむろ》が夜風に冷えて、咲凋《さきしお》れたという風情。
 その内に、肩越に抱くようにして投掛けていた貴婦人の手で脱がしたか、自分の手先で払ったか、少《わか》い女の片肌が、ふっくりと円く抜けると、麻の目が颯《さっ》と遮ったが、直《すぐ》に底澄《そこず》んだように白くなる……また片一方を脱いだんです。脱ぐと羅《うすもの》の襟が、肉置《ししおき》のほどの好《い》い頸筋《えりすじ》に掛《かか》って、すっと留まったのを、貴婦人の手が下へ押下げると、見る目には苛《いじ》らしゅう、引剥《ひっぱ》ぐように思われて、裏を返して、はらりと落ちて、腰帯さがりに飜った。
 
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