いて、小獅子の姿は伊豆《いず》の岬に、ちょと小さな点になった。
浜にいるのが胡坐《あぐら》かいたと思うと、テン、テン、テンテンツツテンテンテン波に丁《ちょう》と打込《うちこ》む太鼓、油のような海面《うなづら》へ、綾《あや》を流して、響くと同時に、水の中に立ったのが、一曲、頭《かしら》を倒《さかさま》に。
これに眩《めくる》めいたものであろう、※[#「口+阿」、第4水準2−4−5]呀《あな》忌《いま》わし、よみじの(ことづけ)を籠《こ》めたる獅子を、と見る内に、幼児《おさなご》は見えなくなった。
まだ浮ばぬ。
太鼓が止《や》んで、浜なるは棒立ちになった。
砂山を慌《あわただ》しく一文字に駈けて、こなたが近《ちかづ》いた時、どうしたのか、脱ぎ捨てた袴《はかま》、着物、脚絆《きゃはん》、海草の乾《から》びた状《さま》の、あらゆる記念《かたみ》と一緒に、太鼓も泥草鞋《どろわらじ》も一《ひと》まとめに引《ひっ》かかえて、大きな渠《かれ》は、砂煙《すなけむり》を上げて町の方《かた》へ一散《いっさん》に遁《に》げたのである。
浪《なみ》はのたりと打つ。
ハヤ二、三人駈けて来たが、いずれ
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