紀昌《きしやう》こゝに於《おい》て、家《いへ》に歸《かへ》りて、其《そ》の妻《つま》が機《はた》織《お》る下《もと》に仰《あふむ》けに臥《ふ》して、眼《まなこ》を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みひら》いて蝗《いなご》の如《ごと》き梭《ひ》を承《う》く。二年《にねん》の後《のち》、錐末《すゐまつ》眥《まなじり》に達《たつ》すと雖《いへど》も瞬《またゝ》かざるに至《いた》る。往《ゆ》いて以《もつ》て飛衞《ひゑい》に告《つ》ぐ、願《ねがは》くは射《しや》を學《まな》ぶを得《え》ん。
飛衞《ひゑい》肯《きか》ずして曰《いは》く、未也《まだなり》。亞《つい》で視《み》ることを學《まな》ぶべし。小《せう》を視《み》て大《だい》に、微《び》を視《み》て著《いちじる》しくんば更《さら》に來《きた》れと。昌《しやう》、絲《いと》を以《もつ》て虱《しらみ》を※[#「片+(戸の旧字+甫)」、第3水準1−87−69]《まど》に懸《か》け、南面《なんめん》して之《これ》を臨《のぞ》む。旬日《じゆんじつ》にして漸《やうや》く大《だい》也《なり》。三年《さんねん》の後《のち》は大《おほき》さ如車輪焉
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