く》い、濕《しめ》つた暗《くら》い中《なか》で、働《はたら》いて居《ゐ》るので、三|人《にん》の石屋《いしや》も齊《ひと》しく南屋《みなみや》に雇《やと》はれて居《ゐ》るのだけれども、渠等《かれら》は與吉《よきち》のやうなのではない、大工《だいく》と一所《いつしよ》に、南屋《みなみや》の普請《ふしん》に懸《かゝ》つて居《ゐ》るので、ちやうど與吉《よきち》の小屋《こや》と往來《わうらい》を隔《へだ》てた眞向《まむか》うに、小《ちひ》さな普請小屋《ふしんごや》が、眞新《まあたらし》い、節穴《ふしあな》だらけな、薄板《うすいた》で建《た》つて居《ゐ》る、三方《さんぱう》が圍《かこ》つたばかり、編《あ》むで繋《つな》いだ繩《なは》も見《み》え、一杯《いつぱい》の日當《ひあたり》で、いきなり土《つち》の上《うへ》へ白木《しらき》の卓子《テエブル》を一|脚《きやく》据《す》ゑた、其《その》上《うへ》には大土瓶《おほどびん》が一|個《こ》、茶呑茶碗《ちやのみぢやわん》が七個《なゝつ》八個《やつ》。
後《うしろ》に置《お》いた腰掛臺《こしかけだい》の上《うへ》に、一人《ひとり》は匍匐《はらばひ》にな
前へ
次へ
全46ページ中32ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング