》むで、ひた/\と小波《さゝなみ》の畝《うねり》が絶《た》えず間近《まぢか》う來《く》る。往來傍《わうらいばた》には又《また》岸《きし》に臨《のぞ》むで、果《はて》しなく組違《くみちが》へた材木《ざいもく》が並《なら》べてあるが、二十三十づゝ、四《よ》ツ目形《めなり》に、井筒形《ゐづつがた》に、規律《きりつ》正《たゞ》しく、一定《いつてい》した距離《きより》を置《お》いて、何處《どこ》までも續《つゞ》いて居《ゐ》る、四《よ》ツ目《め》の間《あひだ》を、井筒《ゐづつ》の彼方《かなた》を、見《み》え隱《かく》れに、ちらほら人《ひと》が通《とほ》るが、皆《みな》默《だま》つて歩行《ある》いて居《ゐ》るので。
淋《さみし》い、森《しん》とした中《なか》に手拍子《てびやうし》が揃《そろ》つて、コツ/\コツ/\と、鐵槌《かなづち》の音《おと》のするのは、この小屋《こや》に並《なら》んだ、一棟《ひとむね》、同一《おなじ》材木納屋《ざいもくなや》の中《なか》で、三|個《こ》の石屋《いしや》が、石《いし》を鑿《き》るのである。
板圍《いたがこひ》をして、横《よこ》に長《なが》い、屋根《やね》の低《ひ
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