もと》に立《た》ちて、「お月樣《つきさま》幾《いく》つ」と叫《さけ》ぶ時《とき》は、幾多《いくた》の(應《おう》)等《ら》同音《どうおん》に「お十三《じふさん》七《なゝ》つ」と和《わ》して、飛禽《ひきん》の翅《つばさ》か、走獸《そうじう》の脚《あし》か、一躍《いちやく》疾走《しつそう》して忽《たちま》ち見《み》えず。彼《かの》堆《うづたか》く積《つ》める蛇《くちなは》の屍《しかばね》も、彼等《かれら》將《まさ》に去《さ》らむとするに際《さい》しては、穴《あな》を穿《うが》ちて盡《こと/″\》く埋《うづ》むるなり。さても清風《せいふう》吹《ふ》きて不淨《ふじやう》を掃《はら》へば、山野《さんや》一點《いつてん》の妖氛《えうふん》をも止《とゞ》めず。或時《あるとき》は日《ひ》の出《い》づる立山《りふざん》の方《かた》より、或時《あるとき》は神通川《じんつうがは》を日沒《につぼつ》の海《うみ》より溯《さかのぼ》り、榎《えのき》の木蔭《こかげ》に會合《くわいがふ》して、お月樣《つきさま》と呼《よ》び、お十三《じふさん》と和《わ》し、パラリと散《ち》つて三々五々《さん/\ごゞ》、彼《かの》杖《つ
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