ね》にて鑄《い》たる鼎《かなへ》(に類《るゐ》す)を裾《す》ゑ、先《ま》づ河水《かはみづ》を汲《く》み入《い》るゝこと八分目《はちぶんめ》餘《よ》、用意《ようい》了《をは》れば直《たゞ》ちに走《はし》りて、一本榎《いつぽんえのき》の洞《うろ》より數十條《すうじふでう》の蛇《くちなは》を捕《とら》へ來《きた》り、投込《なげこ》むと同時《どうじ》に目《め》の緻密《こまか》なる笊《ざる》を蓋《おほ》ひ、上《うへ》には犇《ひし》と大石《たいせき》を置《お》き、枯草《こさう》を燻《ふす》べて、下《した》より爆※[#「火+發」、110−5]《ぱツ/\》と火《ひ》を焚《た》けば、長蟲《ながむし》は苦悶《くもん》に堪《た》へず蜒轉※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《のたうちまは》り、遁《のが》れ出《い》でんと吐《は》き出《いだ》す纖舌《せんぜつ》炎《ほのほ》より紅《あか》く、笊《ざる》の目《め》より突出《つきいだ》す頭《かしら》を握《にぎ》り持《も》ちてぐツと引《ひ》けば、脊骨《せぼね》は頭《かしら》に附《つ》きたるまゝ、外《そと》へ拔出《ぬけい》づるを棄《す》てて、屍《しかばね》傍《かたへ》
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