げ]
声に驚き、且《か》つ活《い》ける玩具《おもちゃ》の、手許《てもと》に近づきたるを見て、糸を手繰りたる小児《こども》、衝《つ》と開《ひら》いて素知《そし》らぬ顔す。
画工、其《そ》の事には心付《こころづ》かず、立停《たちど》まりて嬉戯《きぎ》する小児等《しょうにら》を※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》す。
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よく遊んでるな、あゝ、羨《うらやま》しい。何《ど》うだ。皆《みんな》、面白いか。
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小児等《こどもら》、彼の様子を見て忍笑《しのびわらい》す。中に、糸を手繰りたる一人《いちにん》。
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小児三 あゝ、面白かつたの。
画工 (管《くだ》をまく口吻《くちぶり》)何、面白かつた。面白かつたは不可《いか》んな。今の若さに。……小児《こども》をつかまへて、今の若さも変だ。(笑ふ)はゝゝは、面白かつたは心細い。過去《すぎさ》つた事のやうで情《なさけ》ない。面白いと云へ。面白がれ、面白がれ。尚《な》ほ其の上に面白く成れ。むゝ、何《ど》うだ。
小児三 だつて、兄《に
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