その可愛い、品のある容子《ようす》に似ず、また極めて殺伐《さつばつ》で、ものの生命《いのち》を取ることを事ともしない。蝶、蜻蛉《とんぼ》、蟻《あり》、蚯蚓《みみず》、目を遮るに任せてこれを屠殺《とさつ》したが、馴るるに従うて生類を捕獲するすさみに熟して、蝙蝠《こうもり》などは一たび干棹《ほしざお》を揮《ふる》えば、立処《たちどころ》に落ちたのである。虫も蛙となり、蛇となって、九ツ十ウに及ぶ頃は、薪雑棒《まきざっぽう》で猫を撃《う》って殺すようになった。あのね、ぶん撲《なぐ》るとね、飛着くよ。その時は何でもないの、もうちッと酷《ひど》くくらわすと、丸ッこくなってね、フッてんだ。呻《うな》っておっかねえ目をするよ、恐いよ。そこをも一ツ打《ぶ》つところりと死ぬさ。でもね、坊はね、あのはじめの内は手が震えてね、そこで止《よ》しちゃッたい。今じゃ、化猫わけなしだと、心得澄したもので。あれさ妄念《もうねん》が可恐《おそろ》しい、化けて出るからお止しよといえば、だから坊はね、おいらのせいじゃあないぞッて、そう言わあ。滝太郎はものの命を取る時に限らず、するな、止せ、不可《いけな》いと人のいうことをあえ
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