!」
「何ですって、」
「どうだ、※[#「虫+奚」、第3水準1−91−59]※[#「虫+斥」、第3水準1−91−53]《ばった》、蟷螂《かまきり》、」といいながら、お雪と島野を交《かわ》る交《がわ》る、笑顔で※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》しても豪傑だから睨《にら》むがごとし。
二十七
島野は持余した様子で、苦り切って、ただ四辺《あたり》を見廻すばかり。多磨太は藁草履の片足を脱いで、砂だらけなので毛脛《けずね》を擦《こす》った。
「蚋《ぶよ》が螫《さ》す、蚋が螫すわ。どうじゃ、歩き出そうでないか。堪《たま》らん、こりゃ、立っとッちゃあ埒《らち》明かん、さあ前《さき》へ行《い》ね、貴公。美人は真中《まんなか》よ、私《わし》は殿《しんがり》を打つじゃ、早うせい。」
島野は堪《たま》りかねて、五六歩|傍《かたわら》へ避《よ》けて目で知らせて、
「ちょいと、君、雀部さん、ちょいと。」
「何じゃ、」と裾を掴《つか》み上げて、多磨太はずかずかと寄る。
島野は真顔になって、口説くように、
「かねて承知なんじゃあないか、君、ここは一番《ひとつ》粋を通して、ず
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