心得た。」
「驚いたね。」
「どうじゃ、恐入ったか。うむ、好事魔多し、月に村雲じゃろ。はははは、感多少かい、先生。」
「何もその、だからそういったじゃアありませんか。君、僕だけは格別で。」
「豈《あに》しからん、この美肉をよ、貴様一人で賞翫《しょうがん》してみい、たちまち食傷して生命に係《かかわ》るぞ。じゃから私《わし》が注意して、あらかじめ後を尾《つ》けて、好意一足の藁草履を齎《もた》らし来《きた》った訳じゃ、感謝して可いな。」
島野は苦々しい顔色《かおつき》で、
「奢ります、いずれ奢るから、まあ、君、君だって、分ってましょう。それ、だから奢りますよ、奢りますよ。」
「豚肉《とんにく》は不可《いかん》ぞ。」
「ええ、もうずっとそこン処はね。」
「何、貴様のずっとはずっと見当が違うわい。そのいわゆるずっとというのは軍鶏《しゃも》なんじゃろ、しからずんば鰻《うなぎ》か。」
「はあ、何でも、」と頷《うなず》くのを、見向もしないで。
「非《あら》ず、私《わし》が欲する処はの、熊《ゆう》にあらず、羆《ひ》にあらず、牛豚《ぎゅうとん》、軍鶏にあらず、鰻にあらず。」
「おやおや、」
「小羊の肉よ
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