なさそうに笑いながら、
「大旦那様はそんなにも有仰《おっし》ゃりますまいが、貴方の御病気の様子を奥様がお聞きなすって御覧《ごろう》じろ、大旦那様の一件で気病《きやみ》でお亡《なくな》り遊ばしたようなお優しい、お心弱い方がどんなにお歎きでござりましょう。今じゃあ仏様で、草葉の蔭から、かえって小主公《わかだんな》をお守りなすっていらっしゃるんで、その可愛い貴方のためにそういう処へ参りました娘なら、地獄だって、魔所だって、きっとお守りなさいましょうから、御心配にゃあ及びますまい。望《のぞみ》の黒百合の花を取ってやがて戻って参りましょうが、しかし打遣《うっちゃ》っちゃあおかれません、貴方に御内縁の嬢さんなら、私《わたくし》にゃ新夫人様《にいおくさま》。いや話は別で、そうかといって見ております訳ではござりません。殊に千破矢様というのがその後へおいでなすったという風説《うわさ》、白魚の姉御がいった若様なんで、味方の大将を見殺《みごろし》にはされません。もっとも直ぐにその日、一昨日《おととい》でござりますな、少《すくな》からぬ係合《かかりあい》の知事様の嬢さんも、あすこの茶屋まで駈着《かけつ》けまし
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