、何は措《お》きまして御機嫌|宜《よろ》しく。」
「慶造、何につけても、お前達にもう逢いたくはなかったよ。」
と若山は花屋の奥に端近く端座して、憂苦に窶《やつ》れ、愁然《しゅうぜん》として肩身が狭い。慶造と呼ばれたのは、三十五六の屈竟《くっきょう》な漢《おのこ》、火水に錬《きた》え上げた鉄造《くろがねづくり》の体格で、見るからに頼もしいのが、沓脱《くつぬぎ》の上へ脱いだ笠を仰向《あおむ》けにして、両掛の旅荷物、小造《こづくり》なのを縁に載《の》せて、慇懃《いんぎん》に斉眉《かしず》く風あり。拓の打侘《うちわ》びたる言《ことば》を聞いて、憂慮《きづか》わしげにその顔を見上げたが、勇気は己《おの》が面《おもて》に溢《あふ》れつつ、
「御心中お察し申しますが、人間は四百四病の器、病疾《やまい》には誰だって勝たれませぬ、そんなに気を落しなさいますな。小主公《わかだんな》、良《い》いお音信《たより》がござりますぜ、大旦那様もちょうどこの春、三月が満期で無事に御出獄でござりました。こちらでも新聞がござりますなら、疾《と》くに御存じでござりましょう。」
若山は色を動かして、
「そうか、私はまた何
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