ようだけれども、手応《てごたえ》があったから、占めたと、豪《えら》くなる途端にお前。」
義作は左の耳から頬へかけて掌《てのひら》ですぺりと撫でて、仕方を見せ、苦笑《にがわらい》をして、
「片耳ざくり、行って御覧《ごろう》じろ、鹿が角を折ったように片一方まるで形なしだ。呻吟《うめ》くのはそのせいさ、そのせいであの通りだ。急所じゃがあせんッて、私《わっし》もそう言ったんで、島野さんも、生命《いのち》にゃあ別条はないっていうけれどね、早く手当をしてくれ、破、破、破傷風になるって騒ぐんで、ずきりずきりと脈を打っちゃあ血が湧《わ》くのが肝《きも》にこたえるって※[#「てへん+爭」、第4水準2−13−24]《もが》いてね、真蒼《まっさお》です。それでも見得があるから、お前、松明《たいまつ》をつけて行って見ろ、天狗の片翼《かたつばさ》を切って落とした、血みどろになった鳶《とび》の羽のようなものが落ちてたら、それだと思えなんて、血迷ってまさ。大方滝太郎様にやられたんでしょう、可い気味だ、ざまあ! はははは。やあ、苦しがりやあがって、島野さんの首っ玉へ噛《かじ》りついた。あの人がまた、血を見ると癲癇《
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