|呻吟《うめ》くじゃあないか。」
「え、雀部さんの多磨太なんで、から仕様が無《ね》えんです。何だそうで、全体|心懸《こころがけ》が悪うがすよ。ありゃね、しょッちゅう、あの花売を追懸《おっかけ》廻していたんで、今朝も、お前《めえ》、後を跟《つ》けて石滝へ入ったんだと。え何、力になろうの、助けてやろうという贅沢《ぜいたく》なんじゃあねえんでさ。お道どん、お前の前《まい》だけれどもう思い切ってるんだからね、人の入《へえ》らねえ処だし、お前、対手《あいて》はかよわいや。そこでもってからに、」といいかけて、ちょっと姫様《ひいさま》を見上げたので声を密《ひそ》めた。
「だね、それ、狼って奴だ。お前《めえ》、滝の処はやっぱり真暗《まっくら》だっさ。野郎とうとう、めんないちどりで、ふん捕《づかめ》えて、口説こうと、ええ、そうさ、長い奴を一本|引提《ひっさ》げて入《へえ》ったって。大刀《だんびら》を突着けの、物凄くなった背後《うしろ》から、襟首を取ってぐいと手繰つけたものがあったっさ。天狗だと思って切ってかかったが、お前、暗試合《やみじあい》で盲目《めくら》なぐりだ。その内、痛えという声がする、かすった
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