」とそこどころではない、道は窘《たしな》めるがごとくにいった。
義作あえてその(にやり)なるものを止《や》めず。
「いえ、女ってえものは、またこれがその柔よく剛を制すといった形でね。喧嘩にも傍杖《そばづえ》をくいません、それが証拠にゃあ御覧《ごろう》じろ、人ごみの中でもそんなに足を蹈《ふみ》つけられはしねえもんだ。」
「ちょいとお黙り。高慢なことをお言いでない、お嬢様がいらっしゃるよ。」
「ですからさ、そっちにお嬢様がいらっしゃりゃ、こっちにゃあまた滝公、へん、滝の野郎てえ豪傑がついてまさ。」
「あれだもの。」
「どうでえ阿魔、一言もあるめえ恐入ったか。」
「義作さん可《いい》加減におしな。お嬢様は御心配を遊ばしていらっしゃるんですよ。」
「だから、その御心配には及びますめえッてこった。難かしい事《こた》あない、娘《あま》さい無事なら可いんでしょう。そこは心得てまさ、義作が心得たといっちゃあ、馬に引摺《ひきず》られたからとあって御信仰が薄いでしょうが、滝大明神が心得てついてます。今も島野さんに承わりゃ、あとからついて入んなすったそうで、何、またあの豪傑が行きさえすりゃ、」といいかけて
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