、とこういうことです。実はと訳をいって、お金子《かね》は預けておこうとすると、それは本人へ直《じか》にといって承知しません。無理もないと引返して、夜も寝ないで今朝、起きがけに行くともう居ないんです。また婆さんが出て、昨夜《ゆうべ》は帰りました、その事をいって聞かせると、なおのことそのお情《なさけ》に預《あずか》っては、きっと取って来て差上げずにはと、留めるのも肯《き》かないで行ったといいます。
 ええ、何の知事様から下さるものを、家一つ戴いて何程《どれほど》の事があろう、痩我慢《やせがまん》な行過ぎだと、小腹が立って帰りましたが、それといって棄てておかれぬ、直ぐにといってお嬢様が、ちょうどまたお加減が悪い処、かれこれして遅くなりましたけれども、お体のお厭《いと》いもなく遠方をお出懸けになったのに、まあ飛んだことをしちまったんでございますねえ。」
 と道は落着かず胡乱々々《うろうろ》する。
 一同顔を見合せた。
 義作一名にやりにやり
「可《よ》うがす、何、大概大丈夫でしょう、心配はありますまいぜ。諺《ことわざ》にも何でさ、案ずるより産むが易いって謂《い》いまさ。」
「何だね、お前さん。
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