う》の※[#「月+咢」、第3水準1−90−51]《あご》には神様のような綺麗な珠があるというよ。何そんなものばかりじゃあない、世の中は広いんだ、富山にばかりも神通川も立山もあるじゃあないか。大海の中だの、人の行《ゆ》かない島などには、宝にしろ景色にしろ、どんな結構なものがあろうも知れぬ、そして見つかれば大びらに盗んで可いのさ。
 ただそれは難かしい。島へ行くには船もいろうし、山の奥へ入るには野宿だってしなけりゃならない。お前さんはお金子《かね》が自由だろう、我儘《わがまま》が出来るじゃあないか。気象はその通《とおり》だし、胆玉《きもたま》は大《おおき》いし、体は鍛えてある、まあ、第一、その目つきが容易じゃあない。火に焼《やか》れず、水に溺れずといったような好運があるようだ。好《すき》なことが何でも出来るッて、母様《おっかさん》が折紙をつけて下すった体だよ、私が見ても違いはないね。
 金目の懸《かか》った宝なんざ、人が大切がって惜しむもので、歩るくにも坐るにも腰巾着《こしぎんちゃく》につけていようが、鎖《じょう》を下ろしておこうが、土の中へ埋めてあろうが、私等が手にゃあお茶の子さ。考えて
前へ 次へ
全199ページ中125ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング