こに盗んだものを並べてあるのを見ると、一々動くようで蛇の鱗だと思って、悚然《ぞっ》とした。」
三十九
「野暮は言わない、私だって何も素人じゃあなし、お前さんの病な事も知ってるから、今めかしい意見をするんじゃないが、世の中にゃもッと面白い盗賊《どろぼう》のしようがありそうなもんじゃないか。時計だの、金だの、お前さんが嬉しがって手柄そうにここに並べて置くものは、こりゃ何だい! 私に言わせると吝《けち》さ、端《はした》のお鳥目でざら幾干《いくら》でもあるもんだ。金剛石《ダイヤモンド》だって、高々人間が大事がって秘《しま》っておくもんだよ、慾《よく》の固《かたまり》だね。金と灰吹は溜《たま》るほど汚いというが、その宝を盗んで来るのは、塵芥溜《ごみため》から食べ荒しをほじくり出す犬と同一《おんなじ》だね、小汚ない。
そんなことより滝さん、もっと立派な、日本晴《にっぽんばれ》の盗賊《どろぼう》がありやしないかしら。
主の棲《す》む淵《ふち》といえば誰も入ったものはあるまい。昔から人の入らない処なら、中にまたどんな珍らしい不思議なものがあろうも知れない。譬《たとえ》にも竜《りゅ
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