夫知れッこなしだ、占めたもんだい、この分じゃあ今に見ねえ、また大仕事をやらかしてやらあな。」
 血も迸《ほとば》しらんばかり壮《さかん》だった滝太郎の面《おもて》を、つくづく見て、またその罪の数を※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》して、お兼はほっという息を吐《つ》いた。
 歎息《ためいき》して、力なげにほとんどよろめいたかと見えて、後《うしろ》ざまに壁のごとき山腹の土に凭《もた》れかかり、
「滝さん、まあ、こうやって、どうする意《つもり》だねえ。いいえ、知ってるさ。私だって、そうだったが、殊にお前さん銭金《ぜにかね》に不自由はなし、売ってどうしようというんじゃあない、こりゃ疾《やまい》なんだ。どうしても止《や》められやしないんだろうね。」
 言うことは白魚のお兼である。滝太郎は可怪《あやし》い目をして、
「誰がお前、これを止しちゃッて何がつまるもんか。おらあ時とすると筵《むしろ》を敷いて、夜一夜《よッぴて》この中で寝て帰ることがある位だ。見ねえ、おい、可い心持じゃあねえか、人にも見せてやりたくッてしようがねえんだけれど、下らない奴に嗅《かぎ》つけられた日にゃ打破《ぶち
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