出して大変な騒ぎを遣るんだ。加賀からも、越後からもね、おい、泊懸《とまりがけ》の参詣《さんけい》で、旅籠町の宿屋はみんな泊《とまり》を断るというじゃあねえか。二十一日の間拝ませた。二十一日目だったかな、おいらも人出に浮かされて見に行ったっけ。寺の近所は八町ばかり往来の留まる程だったが、何が難有《ありがて》えか、まるで狂人《きちがい》だ。人の中を這出《はいだ》して、片息になってお前《めえ》、本尊の前へにじり出て、台に乗っけて小さな堂を据えてよ、錦《にしき》の帳《とばり》を棒の尖《さき》で上げたり下げたりして、その度にわッと唸《うな》らせちゃあ、うんと御賽銭《おさいせん》をせしめてやがる。そのお前、前へ伸上って、帳の中を覗《のぞ》こうとした媼《ばばあ》があったさ。汝《うぬ》血迷ったかといって、役僧め、媼を取って突飛ばすと、人の天窓《あたま》の上へ尻餅を搗《つ》いた。あれ引摺出《ひきずりだ》せと講中《こうじゅう》、肩衣《かたぎぬ》で三方にお捻《ひねり》を積んで、ずらりと並んでいやがったが、七八人|一時《いっとき》に立上がる。忌々《いまいま》しい、可哀そうに老人《としより》をと思って癪《しゃく
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