んまいが切れたようにがっくり一礼。
(はい、)といって私《わし》も何か胸が迫《せま》って頭《つむり》を下げた。
そのままその俯向《うつむ》いた拍子《ひょうし》に筋が抜けたらしい、横に流れようとするのを、婦人《おんな》は優しゅう扶《たす》け起して、
(おお、よくしたねえ。)
天晴《あっぱれ》といいたそうな顔色《かおつき》で、
(貴僧《あなた》、申せば何でも出来ましょうと思いますけれども、この人の病ばかりはお医者の手でもあの水でも復《なお》りませなんだ、両足が立ちませんのでございますから、何を覚えさしましても役には立ちません。それにご覧なさいまし、お辞儀一ツいたしますさえ、あの通り大儀《たいぎ》らしい。
ものを教えますと覚えますのにさぞ骨が折れて切《せつ》のうござんしょう、体を苦しませるだけだと存じて何にもさせないで置きますから、だんだん、手を動かす働《はたらき》も、ものをいうことも忘れました。それでもあの、謡《うた》が唄《うた》えますわ。二ツ三ツ今でも知っておりますよ。さあお客様に一ツお聞かせなさいましなね。)
白痴《ばか》は婦人《おんな》を見て、また私《わし》が顔をじろじろ見て
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