《なお》りました。)
(あの流れはどんな病にでもよく利きます、私《わたし》が苦労をいたしまして骨と皮ばかりに体が朽《か》れましても、半日あすこにつかっておりますと、水々しくなるのでございますよ。もっともあのこれから冬になりまして山がまるで氷ってしまい、川も崕《がけ》も残らず雪になりましても、貴僧《あなた》が行水を遊ばしたあすこばかりは水が隠《かく》れません、そうしていきりが立ちます。
鉄砲疵《てっぽうきず》のございます猿だの、貴僧《あなた》、足を折った五位鷺《ごいさぎ》、種々《いろいろ》なものが浴《ゆあ》みに参りますからその足跡《あしあと》で崕《がけ》の路が出来ますくらい、きっとそれが利いたのでございましょう。
そんなにございませんければこうやってお話をなすって下さいまし、寂《さび》しくってなりません、本当《ほんと》にお愧《はずか》しゅうございますが、こんな山の中に引籠《ひっこも》っておりますと、ものをいうことも忘れましたようで、心細いのでございますよ。
貴僧《あなた》、それでもお眠ければご遠慮《えんりょ》なさいますなえ。別にお寝室《ねま》と申してもございませんがその代り蚊《か》
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