(虍/助のへん)+見」、第4水準2−88−41]《うかが》いて、その後段を渇望せり。
 甲者は重ねて感嘆の声を発して、
「おもしろい! なるほど。浴衣の片袖がない! 天も……なんとやらで、なんとかして漏らさず……ですな」
 弁者はこの訛言《かたごと》をおかしがりて、
「天網恢々《てんもうかいかい》疎にして漏らさずかい」
 甲者は聞くより手を抗《あ》げて、
「それそれ、恢々、恢々、へえ、恢々でした」
 乗り合いの過半《おおく》はこの恢々に笑えり。
「そこで、こいつを拘引して調べると、これが出刃打ちの連中だ。ところがね、ちょうどその晩兼六園の席貸しな、六勝亭、あれの主翁《あるじ》は桐田《きりた》という金満家の隠居だ。この夫婦とも、何者の仕業《しわざ》だか、いや、それは、実に残酷に害《や》られたというね。亭主は鳩尾《みぞおち》のところを突き洞《とお》される、女房は頭部《あたま》に三箇所、肩に一箇所、左の乳の下を刳《えぐ》られて、僵《たお》れていたその手に、男の片袖を掴《つか》んでいたのだ」
 車中声なく、人は固唾《かたず》を嚥《の》みて、その心を寒うせり。まさにこれ弁者得意の時。
「証拠にな
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