のあたりで頻《しきり》に礫《つぶて》を打《う》つやうな音《おと》がしたが、ぐる/\渦《うづ》を卷《ま》いちやあ屋根《やね》の上《うへ》を何十《なんじふ》ともない礫《つぶて》がひよい/\駈《か》けて歩行《ある》く樣《やう》だつた。をかしいから、俺《おれ》は門《もん》の處《ところ》に立《た》つて氣《き》を取《と》られて居《ゐ》たが、變《へん》だなあ、うむ、外《そと》は良《い》い月夜《つきよ》で、蟲《むし》の這《は》ふのが見《み》えるやうだぜ、恐《おそろ》しく寒《さむ》いぢやあないか、と折《をり》から歸《かへ》つて來《き》た教師《けうし》はいつたのである。
幸《さいは》ひ美少年録《びせうねんろく》も見着《みつ》からず、教師《けうし》は細君《さいくん》を連《つ》れて別室《べつしつ》に去《さ》り、音《おと》も其《それ》ツ切《きり》聞《きこ》えずに濟《す》んだ。
夜《よ》が明《あ》けると、多勢《おほぜい》の通學生《つうがくせい》をつかまへて、山田《やまだ》が其《その》吹聽《ふいちやう》といつたらない。鵺《ぬえ》が來《き》て池《いけ》で行水《ぎやうずゐ》を使《つか》つたほどに、事《こと》大袈裟《
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