大阪と経《へ》めぐって、西は博多まで行ったっけ。
何んだか伊勢が気になって、妙に急いで、逆戻りにまた来た。……
私が言ったただ一言《ひとこと》、(人のおもちゃになるな。)と言ったを、生命《いのち》がけで守っている。……可愛い娘に逢ったのが一生の思出《おもいで》だ。
どうなるものでもないんだから、早く影をくらましたが、四日市で煩って、女房《おかみ》さん。」
と呼びかけた。
「お前さんじゃないけれど、深切な人があった。やっと足腰が立ったと思いねえ。上方筋は何でもない、間違って謡を聞いても、お百姓が、(風呂が沸いた)で竹法螺《たけぼら》吹くも同然だが、東《あずま》へ上って、箱根の山のどてっぱらへ手が掛《かか》ると、もう、な、江戸の鼓が響くから、どう我慢がなるものか! うっかり謡をうたいそうで危くってならないからね、今切《いまぎれ》は越せません。これから大泉原《おおいずみはら》、員弁《いなべ》、阿下岐《あげき》をかけて、大垣街道。岐阜へ出たら飛騨越《ひだごえ》で、北国《ほっこく》筋へも廻ろうかしら、と富田近所を三日稼いで、桑名へ来たのが昨日《きのう》だった。
その今夜はどうだ。不思議
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