な人を二人見て、遣切れなくなってこの家《うち》へ飛込んだ。が、流《ながし》の笛が身体《からだ》に刺《ささ》る。いつもよりはなお激しい。そこへまた影を見た。美しい影も見れば、可恐《おそろ》しい影も見た。ここで按摩が殺す気だろう。構うもんか、勝手にしろ、似たものを引《ひき》つけて、とそう覚悟して按摩さん、背中へ掴《つかま》ってもらったんだ。
 が、筋を抜かれる、身を※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》られる、私が五体は裂けるようだ。」
 とまた差俯向《さしうつむ》く肩を越して、按摩の手が、それも物に震えながら、はたはたと戦《おのの》きながら、背中に獅噛《しが》んだ面《つら》の附着《くッつ》く……門附の袷《あわせ》の褪《あ》せた色は、膚薄《はだうす》な胸を透かして、動悸《どうき》が筋に映るよう、あわれ、博多の柳の姿に、土蜘蛛《つちぐも》一つ搦《から》みついたように凄《すご》く見える。
「誰や!」
 と、不意に吃驚《びっくり》したような女房の声、うしろ見られる神棚の灯《ともし》も暗くなる端に、べろべろと紙が濡れて、門《かど》の腰障子に穴があいた。それを見咎《みとが》めて一つ喚
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