らして、はっと泣いた声の下で、
「はい、願掛けをしましても、塩断ちまでしましたけれど、どうしても分りません、調子が一つ出来ません。性来《うまれつき》でござんしょう。」
 師走の闇夜《やみよ》に白梅《しらうめ》の、面《おもて》を蝋《ろう》に照らされる。
「踊もかい。」
「は……い、」
「泣くな、弱虫、さあ一つ飲まんか! 元気をつけて。向後どこへか呼ばれた時は、怯《おび》えるなよ。気の持ちようでどうにもなる。ジャカジャカと引鳴らせ、糸瓜《へちま》の皮で掻廻すだ。琴《こと》も胡弓《こきゅう》も用はない。銅鑼鐃※[#「金+祓のつくり」、第3水準1−93−6]《どらにょうはち》を叩けさ。簫《しょう》の笛をピイと遣れ、上手下手は誰にも分らぬ。それなら芸なしとは言われまい。踊が出来ずば体操だ。一、」
 と左右へ、羽織の紐の断《き》れるばかり大手を拡げ、寛濶《かんかつ》な胸を反らすと、
「二よ。」と、庄屋殿が鉄砲二つ、ぬいと前へ突出いて、励ますごとく呵々《からから》と弥次郎兵衛、
「これ、その位な事は出来よう。いや、それも度胸だな。見た処、そのように気が弱くては、いかな事も遣《やっ》つけられまい、可哀
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