をする。その工合が、謹んで聞け、といった、頗《すこぶ》る権高なものさ。どかりとそこへ構え込んだ。その容子《ようす》が膝も腹もずんぐりして、胴中《どうなか》ほど咽喉《のど》が太い。耳の傍《わき》から眉間《みけん》へ掛けて、小蛇のように筋が畝《うね》くる。眉が薄く、鼻がひしゃげて、ソレその唇の厚い事、おまけに頬骨がギシと出て、歯を噛《か》むとガチガチと鳴りそう。左の一眼べとりと盲《し》い、右が白眼《しろまなこ》で、ぐるりと飜《かえ》った、しかも一面、念入の黒痘瘡《くろあばた》だ。
 が、争われないのは、不具者《かたわ》の相格《そうごう》、肩つきばかりは、みじめらしくしょんぼりして、猪《い》の熊入道もがっくり投首の抜衣紋《ぬきえもん》で居たんだよ。」

       十五

「いえな、何も私が意地悪を言うわけではないえ。」
 と湊屋の女中、前垂の膝を堅くして――傍《かたわら》に柔かな髪の房《ふっさ》りした島田の鬢《びん》を重そうに差俯向《さしうつむ》く……襟足白く冷たそうに、水紅色《ときいろ》の羽二重《はぶたえ》の、無地の長襦袢《ながじゅばん》の肩が辷《すべ》って、寒げに脊筋の抜けるまで、嫋
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