をして下りる。しばらくして上って来た年紀《とし》の少《わか》い十六七が、……こりゃどうした、よく言う口だが芥溜《はきだめ》に水仙です、鶴です。帯も襟も唐縮緬《とうちりめん》じゃあるが、もみじのように美しい。結綿《いいわた》のふっくりしたのに、浅葱《あさぎ》鹿《か》の子の絞高《しぼだか》な手柄を掛けた。やあ、三人あると云う、妾の一人か。おおん神の、お膝許《ひざもと》で沙汰の限りな! 宗山坊主の背中を揉んでた島田髷の影らしい。惜しや、五十鈴川の星と澄んだその目許も、鯰《なまず》の鰭《ひれ》で濁ろう、と可哀《あわれ》に思う。この娘が紫の袱紗《ふくさ》に載《の》せて、薄茶を持って来たんです。
 いや、御本山の御見識、その咽喉《のど》を聞きに来たとなると……客にまず袴《はかま》を穿《は》かせる仕向《しむけ》をするな、真剣勝負面白い。で、こっちも勢《いきおい》、懐中《ふところ》から羽織を出して着直したんだね。
 やがて、また持出した、杯《さかずき》というのが、朱塗に二見ヶ浦を金蒔絵《きんまきえ》した、杯台に構えたのは凄《すご》かろう。
(まず一ツ上って、こっちへ。)
 と按摩の方から、この杯の指図
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