広い、格子戸造りで、この一軒だけ二階屋。
軒に、御手軽|御料理《おんりょうり》としたのが、宗山先生の住居《すまい》だった。
(お客様。)と云う女の送りで、ずッと入る。直ぐそこの長火鉢を取巻いて、三人ばかり、変な女が、立膝やら、横坐りやら、猫板に頬杖やら、料理の方は隙《ひま》らしい。……上框《あがりかまち》の正面が、取着《とッつ》きの狭い階子段《はしごだん》です。
(座敷は二階かい、)と突然《いきなり》頬被《ほおかむり》を取って上ろうとすると、風立つので燈《あかり》を置かない。真暗《まっくら》だからちょっと待って、と色めいてざわつき出す。とその拍子に風のなぐれで、奴等の上の釣洋燈《つりランプ》がぱっと消えた。
そこへ、中仕切《なかじきり》の障子が、次の室《ま》の燈《あかり》にほのめいて、二枚見えた。真中《まんなか》へ、ぱっと映ったのが、大坊主の額の出た、唇の大《おおき》い影法師。む、宗山め、居るな、と思うと、憎い事には……影法師の、その背中に掴《つか》まって、坊主を揉《も》んでるのが華奢《きゃしゃ》らしい島田|髷《まげ》で、この影は、濃く映った。
火燧《マッチ》々々、と女どもが云う
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