ころ》へ捻込《ねじこ》んで、何の洒落《しゃれ》にか、手拭で頬被りをしたもんです。
 門附になる前兆さ、状《ざま》を見やがれ。」と片手を袖へ、二の腕深く突込《つッこ》んだ。片手で狙《ねら》うように茶碗を圧《おさ》えて、
「ね、古市へ行くと、まだ宵だのに寂然《ひっそり》している。……軒が、がたぴしと鳴って、軒行燈《のきあんどん》がばッばッ揺れる。三味線《さみせん》の音もしたけれど、吹《ふき》さらわれて大屋根へ猫の姿でけし飛ぶようさ。何の事はない、今夜のこの寂しい新地へ、風を持って来て、打着《ぶッつ》けたと思えば可い。
 一軒、地《つち》のちと窪《くぼ》んだ処に、溝板《どぶいた》から直ぐに竹の欄干《てすり》になって、毛氈《もうせん》の端は刎上《はねあが》り、畳に赤い島が出来て、洋燈《ランプ》は油煙に燻《くすぶ》ったが、真白《まっしろ》に塗った姉さんが一人居る、空気銃、吹矢の店へ、ひょろりとして引掛《ひっかか》ったね。
 取着《とッつ》きに、肱《ひじ》を支《つ》いて、怪しく正面に眼《まなこ》の光る、悟った顔の達磨様《だるまさま》と、女の顔とを、七分三分に狙いながら、
(この辺に宗山ッて按摩は居
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