は我慢が出来ない。淵《ふち》に臨んで、崕《がけ》の上に瞰下《みお》ろして踏留《ふみとど》まる胆玉《きもだま》のないものは、いっその思い、真逆《まっさかさま》に飛込みます。破れかぶれよ、按摩さん、従兄弟《いとこ》再従兄弟《はとこ》か、伯父甥《おじおい》か、親類なら、さあ、敵《かたき》を取れ。私はね、……お仲間の按摩を一人殺しているんだ。」
十二
「今からちょうど三年前。……その年は、この月から一月|後《おくれ》の師走《しわす》の末に、名古屋へ用があって来た。ついでと言っては悪いけれど、稼《かせぎ》の繰廻しがどうにか附いて、参宮が出来るというのも、お伊勢様の思召《おぼしめし》、冥加《みょうが》のほど難有《ありがた》い。ゆっくり古市《ふるいち》に逗留《とうりゅう》して、それこそついでに、……浅熊山《あさまやま》の雲も見よう、鼓ヶ|嶽《たけ》の調《しらべ》も聞こう。二見《ふたみ》じゃ初日を拝んで、堺橋から、池の浦、沖の島で空が別れる、上郡《かみごおり》から志摩へ入って、日和山《ひよりやま》を見物する。……海が凪《な》いだら船を出して、伊良子《いらこ》ヶ崎の海鼠《なまこ》で飲も
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