うのじゃない。いつの幾日《いくか》にも何時《なんどき》にも、洒落《しゃれ》にもな、生れてからまだ一度も按摩さんの味を知らないんだよ。」
「まあ、あんなにあんた、こがれなさった癖に。」
「そりゃ、張って張って仕様がないから、目にちらつくほど待ったがね、いざ……となると初産《ういざん》です、灸《きゅう》の皮切も同じ事さ。どうにも勝手が分らない。痛いんだか、痒《かゆ》いんだか、風説《うわさ》に因ると擽《くすぐ》ったいとね。多分私も擽ったかろうと思う。……ところがあいにく、母親《おふくろ》が操正しく、これでも密夫《まおとこ》の児《こ》じゃないそうで、その擽ったがりようこの上なし。……あれ、あんなあの、握飯《にぎりめし》を拵《こさ》えるような手附をされる、とその手で揉まれるかと思ったばかりで、もう堪《たま》らなく擽ったい。どうも、ああ、こりゃ不可《いけね》え。」
と脇腹へ両肱《りょうひじ》を、しっかりついて、掻竦《かいすく》むように脊筋を捻《よ》る。
「ははははは、これはどうも。」と按摩は手持不沙汰な風。
女房|更《あらた》めて顔を覗《のぞ》いて、
「何んと、まあ、可愛らしい。」
「同じ事を
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