、中央《まんなか》で四人出会ったところで、皆《みんな》がひったり座る、勿論《もちろん》室の内は燈《あかり》をつけず暗黒《まっくら》にしておく、其処《そこ》で先《ま》ず四人の内の一人が、次の人の名を呼んで、自分の手を、呼んだ人の膝へ置く、呼ばれた人は必ず、返事をして、また同じ方法で、次の人の膝へ手を置くという風にして、段々《だんだん》順を廻すと、恰度《ちょうど》その内に一人返事をしないで座っている人が一人増えるそうで。
「本叩き」というのは、これも同じく八畳の床の間なしの座敷を暗がりにして、二人が各《おのおの》手に一冊|宛《ずつ》本を持って向合《むかいあ》いの隅々《すみずみ》から一人|宛《ずつ》出て来て、中央《まんなか》で会ったところで、その本を持って、下の畳をパタパタ叩く、すると唯《ただ》二人で、叩く音が、当人は勿論《もちろん》、襖越《ふすまごし》に聞いている人にまで、何人で叩くのか、非常な多人数《たにんず》で叩いている音の様に聞《きこ》えると言います。
これで思出《おもいだ》したが、この魔のやることは、凡《すべ》て、笑声《わらいごえ》にしても、唯《ただ》一人で笑うのではなく、アハハ
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