わななかし、小鼻に柔和な皺《しわ》を刻んで、深く両手を拱《こまぬ》いたが、噫《ああ》、我かつて誓うらく、いかなる時にのぞまんとも、我《わが》心、我が姿、我が相好、必ず一体の地蔵のごとくしかくあるべき也《なり》と、そもさんか菩薩《ぼさつ》。
「夫人《おくさん》、どうしても、貴女《あなた》、怪《あやし》い獣に……という、疑《うたがい》は解けんですか。」
「はい、お恥かしゅう存じます。」と手を支《つ》いて、誰《たれ》にか詫《わ》び入る、そのいじらしさ。
 眼《まなこ》を閉じたが、しばらくして、
「恐るべきです、恐るべきだ。夢現《ゆめうつつ》の貴女《あなた》には、悪獣《あくじゅう》の体《たい》に見えましたでありましょう。私の心は獣《けだもの》でした。夫人《おくさん》、懺悔《ざんげ》をします。廉平が白状するです。貴女に恥辱を被らしたものは、四脚《よつあし》の獣ではない、獣のような人間じゃ。
 私です。
 鳥山廉平一生の迷いじゃ、許して下さい。」と、その襯衣《しゃつ》ばかりの頸《うなじ》を垂れた。
 夫人はハッと顔を上げて、手をつきざまに右視左瞻《とみこうみ》つつ、背《せな》に乱れた千筋《ちすじ》
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