うから。」
 いうことの極めて確かに、心狂える様子もないだけ、廉平は一層《ひとしお》慰めかねる。

       二十七

 夫人はわずかに語るうちも、あまたたび息を継ぎ、
「小児《こども》と申しても継《まま》しい中で、それでも姉弟《きょうだい》とも、真《ほん》の児《こ》とも、賢之助は可愛くッてなりません。ただ心にかかりますのはそれだけですが、それも長年、貴下《あなた》が御丹精下さいましたお庇《かげ》で、高等学校へ入学も出来ましたのでございますから、きっと私の思いでも、一人前になりましょう。
 もう私は、こんな身体《からだ》、見るのも厭《いや》でなりません。ぶつぶつ切って刻んでも棄《す》てたいように思うんですもの、ちっとも残り惜《おし》いことはないのですが、慾《よく》には、この上の願いには、これが、何か、義理とか意気とか申すので死ぬんなら、本望でございますのに、活《い》きながら畜生道とはどうした因果なんでございましょうねえ。」
 と、心もやや落着いたか、先のようには泣きもせで、濁りも去った涼しい目に、ほろりとしたのを、熟《じっ》と見て、廉平|堪《たま》りかねた面色《おももち》して、唇を
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