うちッと上手な処が見せてもらいたいな。
 どうじゃ、ずッと漕げるか。そら、あの、そら巌のもっとさきへ、海の真中《まんなか》まで漕いで行《ゆ》けるか、どうじゃろうな。」
 寄居虫《やどかり》で釣る小鰒《こふぐ》ほどには、こんな伯父さんに馴染《なじみ》のない、人馴れぬ里の児は、目を光らすのみ、返事はしないが、年紀上《としうえ》なのが、艪《ろ》の手を止めつつ、けろりで、合点の目色《めつき》をする。
「漕げる? むむ、漕げる! 豪《えら》いな、漕いで見せな/\。伯父さんが、また褒美をやるわ。
 いや、親仁《おやじ》、何よ、お前の父《とっ》さんか、父爺《とっさん》には黙ってよ、父爺に肯《き》くと、危いとか悪戯《いたずら》をするなとか、何とか言って叱られら。そら、な、可《い》いか、黙って黙って。」
 というと、また合点《がってん》々々。よい、と圧《お》した小腕ながら艪を圧す精巧な昆倫奴《くろんぼ》の器械のよう、シッと一声飛ぶに似たり。疾《はや》い事、但《ただ》し揺れる事、中に乗った幼い方は、アハハアハハ、と笑って跳ねる。
「豪いぞ、豪いぞ。」
 というのも憚《はばか》り、たださしまねいて褒めそやし
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