》かに、真砂《まさご》を拾うばかりなれば、纜《もやい》も結ばず漾《ただよ》わせたのに、呑気《のんき》にごろりと大の字|形《なり》、楫《かじ》を枕の邯鄲子《かんたんし》、太い眉の秀でたのと、鼻筋の通ったのが、真向《まの》けざまの寝顔である。
 傍《かたわら》の船も、穉《おさな》いものも、惟《おも》うにこの親の子なのであろう。
 廉平は、ものも言わずに駈《か》け歩行《ある》いた声をまず調えようと、打咳《うちしわぶ》いたが、えへん! と大きく、調子はずれに響いたので、襯衣《しゃつ》の袖口の弛《ゆる》んだ手で、その口許を蔽《おお》いながら、
「おい、おい。」
 寝た人には内証らしく、低調にして小児《こども》を呼んだ。
「おい、その兄さん、そっちの児《こ》。むむ、そうだ、お前達だ。上手に漕ぐな、甘《うま》いものだ、感心なもんじゃな。」
 声を掛けられると、跳上《はねあが》って、船を揺《ゆす》ること木《こ》の葉のごとし。
「あぶない、これこれ、話がある、まあ、ちょっと静まれ。
 おお、怜悧《りこう》々々、よく言うことを肯《き》くな。
 何《なん》じゃ、外じゃないがな、どうだ余り感心したについて、も
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